■
日本語と韓国語の間柄は果たして同系なのか?
金沢庄三郎博士『日韓両国語同系論』(明治43年)以来はじめて日韓両言語の歴史的関係に学問的にメスを入れた、韓国言語学界第一人者による本格的研究論集。
「本書をあえて公刊するのは、次のような理由からである。それは、これまでの韓日両言語の比較方法に対する反省の必要性を強調したいがためである。わたしはいまもなお韓国語と日本語のあいだは、決してよそよそしい関係ではないと思っている。たとえ、その史的関係が疎遠にせよ緊密にせよ、両言語のあいだには確かにただならぬ系統的関わりがある。」(著者)
ISBN4-88323-113-5 C1087 四六判 本体価格4,800円+税
1999年刊
■目 次■
第1部 韓国語と日本語との比較の歩み
1 韓日両国語比較研究史/2 日本語系統論について/3 最近の日本語系統論
第2部 韓国語と日本語との比較の試み
1 韓国語と日本語の類似性/2 高句麗語の語末母音消失について/ 3 韓日両国語語韻対応試考/4 韓日両語の比較について
〈巻末付録〉韓日両国語語彙比較索引
〔著者略歴〕 1937年、韓国全羅北道益山市生まれ。1963年、ソウル大学校
文理科大学国語国文学科卒業。1985年、同校大学院文学博士。 専門は韓国語と日本語の音韻史および語彙史。聖心女子大学(現・カトリック大学校)教授、東京大学文学部外国人研究員、韓国日本学会会長、国民大学校文科大学学長、国立国語研究院院長などを歴任する。現在、国民大学校文科大学教授、国語審議会委員、国語学会会長、国際日本文化研究センター客員教授。
主な著書に『日本語の構造』、『前期近代国語音韻論研究』(いずれも韓国文)などの他、韓日両国語系統・関係史の分野や韓国語音韻史・語彙史に関する論文多数。
〈訳者〉菅野裕臣(前東京外国語大学教授・神田外語大学教授)、野間秀樹東京外国語大学大学教授、浜之上幸神田外語大学助教授、伊藤英人東京外国語大学講師
梅田博之評『月刊言語』2000年4月号
本書は韓国語と日本語の系統論に関する論 考である。第一郡はきわめて詳細な研究史 で、読者はこれにより従来の諸研究とその評
価を一望の下に知ることができる。従来、諸 学者によって取り上げられた比較語彙の索引 が巻末に付いているのも有益である。 第二部は日韓両言語の比較に関する論考
で、韓国語の名詞語根と日本語の動詞語根の 比較や露出形だけでなく被覆形の比較の重要 性、さらに動詞の文法化の一致に注目する必
要性等を提起し、また借用要素の類似性につ いても興味ある論の展開が見られる。その考 察は、該博な韓国語史研究の基礎の上に立
ち、かつ日本語史にも造詣の深い教授ならで はの、方法論的にも資料的にも信頼性の高く 示唆に富むものであって、われわれは、長い
系統論研究史の中で最も確実な日韓比較研究 をここに見ることができる。なお、翻訳は正 確、かつ流麗である。最後に、いつも学問的
に貴重な図書の出版に努めておられる草風館 の内川千裕氏にも感謝の意を表したい。
ホームに戻る
MAIL to WebMaster
|