■山梨県下、土に生き、昭和史を生きた! 平和を希求する良心の軌跡■
ISBN4-88323-145-3 C0023 Y2,000E 体裁:46 判 344ページ
定価 本体2,000円+税
◎本書は「昭和」を生きた著者の若者たちへ贈る遺言である。山梨県下で農業に従事する傍ら、故郷・三珠町の町会議員、町長を歴任した著者はまさに「昭和史」を生き抜いた。それ故に心から戦争を憎み、郷土再生に力を尽くす。平和のために働くことをライフワークと頑固にきめている著者が苦難と混迷を深くしている現代に遺すモノローグ。
■本書の内容■
第1章 紅 燃ゆる
第2章 縁は異なもの
第3章 武士の商法
第4章 花の町会議員
第5章 木に登る亀
第6章 起き上がりこぼし
第7章 まほろば美わし
あとがき
■本書あとがきより
「家庭」──なんと暖かい響きのある言葉だろう。単なる家でなく庭が付いているのである。寝る所ばかりでなく、そこには量はともあれ緑の木や草花があるだろう。犬もいるかもしれないし、場合によっては小さな池があり、金魚や鯉がいるかもしれない。祖父母がいて、父や母がいて、子や孫が飛び歩いていて……。
仕事がら、陳情やら大会やら東京へ行く機会が多い。いつも夫を磨すような高いビルに圧倒されながら、一方でここに住む大部分の人達は家庭でなく家に住んでいるのだとふと気の毒だとも考えたりする。
最愛の娘たちは今、田舎を捨てて庭のない家に住んでいる。草むしりもない。掃除もいらないマンションに住んでいる。合理的で体も楽だろう。でも本当に幸せだろうか。
兎追いしかの山
小鮒釣りしかの川……
故里が恋しくないのか。
帰ってこう! 帰って来ておくれ!
そして、一人でも多く孫を作っておくれ。
これは私一人の願いだけでない。農村に、山村に住む年老いた人々の痛切な願いだ。田園将に蕪れな人とする。戦に負けても残った山河はいま、まさに荒れな人としているのである。
終わりに、この作品にたくさんの実名を無断で使用させていただいた無礼をお許しいただきたい。
また、編集にあたって幾度も遠路来県をいただき、ご協力をくださった内川さんをはじめ、多くの友人達に感謝の意を添えてあとがきとします。
町長室の片隅に相田みつをの「人間だもの」の一節が掲げられている。
名もない草も実をつける
いのちいっぱいの花を咲かせて
まさにそのとおりだと思う。
■著者略歴■佐藤美樹(本名・水上末雄)
1931年山梨県三珠町生まれ。甲府中学校卒業。農業に従事の傍ら種々の人生経験を積む。とくに青年団運動に青春を費やす。現・三珠町町長。
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