■人間の尊厳と良心を守り通したゾフィーの壮絶な勇気■
ISBN4-88323-166-6 C1098 Y1600E 体裁:46 判 224ページ 定価本体1,600円+税
◎清冽なメッセージ――人間はいかに生き、そして死ぬか 澤地久枝
ユダヤ人の大量虐殺に象徴されるナチス・ドイツの時代、
日本はその盟友であった。
ヒトラー支配下の狂気と残忍性が正当化され横行した社会で、
根づよい抵抗運動があったことはよく知られる。
狂気に抗する理性が存在し得た歴史背景がドイツにはあり、
日本では残念ながらきわめて脆弱であった。
ショル兄妹がかかわった「白バラ」グループも抵抗組織の一つである。
勇気を支えたのは信仰であり、
奪い返そうとしたものは「人間の尊厳と自由」である。
一九四三年二月、ゾフィー・ショルは兄たちとともに
「反逆準備及び敵側幇助」の罪名で、手斧による斬首刑を執行される。
二十一歳だった。
お人形遊びや水泳ぎを楽しんだ幼い日から、
処刑直前の親たちとの面会まで、清冽なゾフィーの人生が、
姉や身近かな証言者によって具体的に語られている。
両親の見事さにも感動させられた。
ビラの文章、会話のはしはし。すべて六十年前に終った物語とは思えない。
年齢を問わず、いかに生き、そして死ぬのか。
ゾフィーの人生はつよい示唆を与える。
今改めてすべての日本人に贈られるメッセージのようにも思える。
■本書の内容■
序 澤地久枝
第1章
自然の中で、大きな家で教室で
私は顔を黒く温かな樹皮に押しつけた……
第2章
ハーケンクロイツの下(もと)で
言いたいことを言いやりたいことをやってよい、そんな島にしばらくの間住めたらと思います
第3章
列車の中で、教室で、裏庭で─一
不安と共に明日の朝私はまだ生きているだろうか?
第4章
刑務所で
私はもうー渡すっかり同じことを繰り返すでしょう
第5章
生きのびること、生き続けること
希望なしでは生きられません イルゼ・アイヒンガー
終章
妥協することなく
作家イルゼ・アイヒンガーとゾフィー・ショルについて語る
■ドイツ映画ロードショー■1月28日より日比谷シャンテシネ他全国順次公開
「白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々」SOPHIE SCHOLL - DIE LETZTEN TAGE
2005年/カラー/121分/35?監督・脚本:マルク・ローテムント 出演:ユリア・イェンチ
白バラの紅一点ゾフィー・ショルがミュンヘン大学構内でビラをまき、逮捕されてから処刑されるまでの5日間を描く。ベルリン映画祭で銀熊賞を始め3冠受賞した傑作。
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