■アイヌ民族復権の歩み 本邦初の本格的通史■
ISBN978-4-88323-171-3 C1021 ¥3800E
体裁:A5 判 上製 680ページ 定価本体3,800円+税
◎久しく待たれた決定版“アイヌ民族の通史”が完成◎
本書は、アイヌ民族の歴史を前アイヌ文化としての擦文文化の時代から現代に至るまで一貫して論述、とくにアイヌ民族と大陸の周辺民族・国家との関係を詳述した部分は知られざるアイヌ民族の一断面である。またアイヌ民族の数度にわたる戦争、「北海道旧土人保護法」や「アイヌ新法」の成立過程を内外の史料を駆使して記述した、本邦初の本格的歴史書である。
現今、「アイヌ民族」はいろいろな問題をかかえて世に登場したが、その歴史と問題点が十分理解されているとはいえない。本書は、このような現実を考えるうえで格好の書であろう。
〔本書目次〕
第1章 古代社会とアイヌ民族
第2章 「夷島」とアイヌ民族
第3章 アイヌ民族と大陸
第4章 分断されたアイヌモシリ
第5章 シャクシャインの戦い
第6章 クナシリ・メナシの戦い
第7章 ロシア・清朝・日本のの狭間で
第8章 近代日本とアイヌ民族
◎『朝日新聞』評/2007年5月6日付◎
本書は、日本における先住民族としてのアイヌ民族を主体として書かれた、初の本格的な通史である。アイヌ史研究の大家渾身の作品は、その刊行自体がひとつの事件として画期的だ。
本書には傑出した三つの特色がある。第一は、アイヌ民族を日本における先住民族のひとつとして明確に位置づけたうえで、古代から現在までの歴史を一貫して叙述しているととである。これは、アイヌ民族の固有の経験を、他の先住民族問題と共有・分有されるべき普遍的問題意識へと接続する重要な作業である。
第二は、アイヌ民族を主体として、その和人(および日本国家)との関係が描きなおされたことで、日本史の側にも新鮮な展望が与えられていることである。ロシアや中国をはじめ、極東の諸民族を含めた北東アジア関係史の構図が立体的に浮かび上がる叙述は見事である。
第三は、全編を貫く血の通った筆致の読みやすさである。読者はそこに、歴史家が史料を扱うたしかな手さばきを感じられるであろう。二段組みで600ページを超える大部ながら、本書には、読む者にページを操る手を止めさせない力が宿っている。広く読まれるべき作品である。山下範久(立命館大学准教授)
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