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 『韓国の女たち』増田忠幸編著 

■韓国の女たち――今を生きる! 私を生きる! 41人へのインタビュー

ISBN4-88323-041-4 C0039 四六判240頁1990年刊 定価本体1600円+税

目次
女だてらなんていわせない
郵便配達■受取人は日に三千人をこえます 美術学校の校長■スカートなんかはいたことがなかったわ 看板製造業■「執念のトスニ」っていわれてます バーテンダー■両親には内緒。でも自分にあった職業です ベルガール■ホテルの全てのサービスを担っています ソムリエ■顔を見ただけで客の好みが分かります 不動産業の社長■失礼なお客さんも多いんですよ ニット製造業の社長■営業先でバーのマダムとまちがえられたり カーレーサー■子供のころからのスピード狂  野球のアンパイア■くだしたジャッジを貫くずぶとさが必要  造景設計技術士■男たちとわたりあわなければいけないのが大変 テッコン道の師範■夫婦あわせてテッコン道十段 弁護士■実力さえあれば全てを克服できます 
なせばなる
寝具デサイナ-■生き残るために追れわれる日々  発明家■発明が生活で趣味 舞台俳優■教壇と舞台を両立させて  宝石研磨士■アクセサリーに魅せられて日本に学ぶ  ピアノ調律師■夫から「家庭を忘れるな」といわれます  表具師■とくに主婦に勧めたい職業  工員■弟二人を学校にやりながら輸出に貢献する 公務員■身体障害者を対象にした公務員試験を突破して  エステティシヤン■東洋哲学の道から美の探求者に  音楽治療士■音楽を媒介とする社会事業家 高校生歌手■気がついたらポンチヤク歌手になっていました 高校生■靴デザイン展のシンデレラ  水族舘のダイバー■私たち、魚と暮らすパートナーです
自分を信じる道を生きてきて
元売春婦■今は本当に幸福です  政治家夫人■二十八年で三十種類の商売を手がけました 大統領候補夫人■拷問でぼろぼろになった夫を支ぇつづけて 声楽家■私七十歳じやないわ、本当は二十八歳なの  画家■胸に感傷のポケットを秘めて  童話口演家■ただこどもたちが好きなだけです  公務員夫人■自分たちにあった生き方に満足して  詩人■本当に必要なのは暖かな友情  現代舞踊家■無口な日常と強烈な舞台  演出家■長続きすれば味わいも深くなるのよ 舞踊家■あえて「独身主義者」宣言をしたわけ  バイオリニスト■トツポッキの好きな努力家 
解 説 

1990.12.24 河北新聞
ブックスタンド
韓国は儒教の伝統を持つ国だから、韓国女性は男性に従順で、生活力があるという見方だけが膨らみがちだが、経済成長が進み、離婚率や未婚率が高まるなど、既成の概念だけではとらえられない。本書は韓国の雑誌に掲載された女性インタビューを翻訳し、まとめることで、生の声から韓国女性の現在の姿を描き出した。 38人のインタビューが収容されている。かつてヒットした映画「トスニ」の主人公のように生活力があって人生に勝利したタイプと違って、自分だけの生き方を選び貫く新しいトスニの時代に入っていることを教えてくれる。著者は通訳を得意とするフリーライター。

1990.12.16 朝日新聞  
日本とは一衣帯水の間柄なのに、韓国女性の実像はあまり見えて来ない。本書は韓国の雑誌に載った様々な職業の女性や信念に生きる人たち40余人をとり上げ、その生活を通して女性の置かれた現況を解説付きで紹介する。中には広告塗装など男性分野への進出も目立つが、家計のため28年間に30も職を変えた国会議員夫人の献身ぶりは日本での常識を越えて感動を呼ぶ。どの女性も質問に答える口調に気負いがないのが印象的だ。

1991.3.8 婦人民主新聞
郵便配達、カーレーサー、演出家など、さまざまな職場で働く女性たちのインタビュー記事を翻訳したもの。韓国の女性の考え方、取りまく情況は、日本の女たちと類似した点も多く、親しみを感じさせる。 現在の韓国は経済開発による産業構造の変化で、伝統的な家族制度から、都市集中型核家族へ移行。早婚の習慣も改まり、女性の高学歴化に伴い、結婚後も働き続けるパーセンテージは上がっている。 離婚も妻側の請求が半数以上を占め、この数字は日本とほとんど変わらない。どこの国でも、経済的自立は、女性の自立をうながし、社会的な価値観を変えていく大きな力になっているのがよくわかる。ただ訳者も巻末で述べているように、女性たちの前向きな意欲に比べて、インタビュアーの意識のズレが気になった。

1991.2.28 統一日報
新時代に生きる女性浮彫り 伝統的な男社会の中でその職城を開拓、「平等」を求めて孤軍する韓国の女性たちは、まさに在日同胞の若者群像と通ずる。女性たちのいまを生きる姿を通して韓国社会の一端が見えてくる。 日本で知ることのできる韓国女性たちの現況は、「男女雇用平等法」の成立や、韓国初の女性問題専門紙「女性新聞」の創刊など、社会表面の動きが主だ。彼女たちがどう動きどのような矛盾を感じているのかなどの具体的な生活像は見えにくい。 本書は、韓国の雑誌に掲載された職業女性へのインタビュー記事の中から、韓国の芸術文化史を研究している著者が、一部抜すいして翻訳したものだ。 「女性問題の専門家でない私が、題材や資料集めなど手さぐりの状態で始めたので思った以上に時間を要した」と述懐する。「いまを生きる」39人の紹介だけで韓国の女性像やその現況を知るには不十分だと、後に続く「解説」では資料を駆使し、女性たちをとりまく社会背景をわかりやすくまとめている。 本書に登場する女性たちは、広告塗装技能士女性第一号、「発明の日」に大統領表彰を受けた人など、男社会の中で突出した存在の女性が多いが、1日28キロは歩いて約1000通もの配達をして歩く郵便配達人など、頑張り屋のアジュマを登場する。 女性特有の粘り強さで新しい時代へと移行する過程にあるいまを、韓国の女性たちがしたたかに、そしてしなやかに生きているのが伝わる。

 


 

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