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『北方諸民族の世界観 ●アイヌとアムール・サハリン地域の神話・伝承
荻原眞子著 
  

Essays on Ideas and Beliefs among the Northern Peoples
  ――Myths and Tales of the Ainu, Natives of Amur-Sakhalin Region――
■豊かな伝承を持つアイヌ民族の口承文芸を近接するアムール・サハリン地域の諸民族の神話・伝承と比較研究した画期的労作。アイヌ民族に対する社会的関心が大きい今、貴重な研究■

 ISDN4-88323-086-4  c3039  A5判 512頁 1995年刊 定価 本体9,515円+税

◆目次◆
序 論  
 第一章 アイヌとアムール・サハリン地域の文化複合について     
   1 はじめに     
   2 アムール・サハリン地域の住民     
   3 トウングース・満州語の分類     
   4 トウングース・満州問題     
   5 アムール・サハリン地域の文化視合     
   6 アムール・サハリン地域の基層文化  
  第二章 アムール・サハリン地域の神話世界       
       ――創世神話を中心として――     
   1 口承文芸のジャンルについて・        
     a.ナーナイの口承文芸のジャンル        
     b.ウリチの口承文芸のジャンル
     c.オロチの口承文芸のジャンル        
     d.ネギタルの口承文芸のジャンル        
     e.ウデゲの口承文芸のジャンル        
     f.オロッコの口承文芸のジャンル        
     g.ニヴフの口承文芸のジャンル     
   2 創世神話について        
     a.地上世界の起源        
     b.人間と氏族の起源        
     c.死とシヤマンの起源     
   3 今後の課題

第一部 創世神話  
  第一章 射日神話     
   1 はじめに     
   2 東アジアの射日神話     
   3 アムール・サハリン地域の射日神話        
      ウデゲ オロチ ネギダル ウリチ ナーナイ ニヴフ     
   4 トウングース・満州語系諸族の射日神話の構成       
     a.射日神話の位置       
     b.天体について       
     c.射手について     
   5 ニヴフの「二羽の四十雀」について       
     a.伝承の構成       
     b.鉄人英雄       
     c.枝角の日象と月象     
   6 アムール・サハリン地域の文化複合についての手掛り  
  第二章 兄妹始祖神話     
   1 問題の所在    
   2 アムール・サハリン地域の伝承        
   3 アムール・サハリン地域の伝承の特質     
   4 北東シベリア地域の伝承        
      ユカギル チュクチ コリャク イテリメン     
   5 北東シベリア地域の伝承の特質       
     a.伝承の特質       
     b.周辺地域の伝承との比較     
   6 北方における兄妹始祖神話       
     a.朝鮮半島の伝承       
     b.北方における兄妹始祖神話の分布      
     c.シベリアの兄妹始祖神話について       
     d.北方における兄妹始祖神話の頻型    
    付.ハダウをめぐって        
       ――死の起源と最初のシャマンについての覚書――       
     1.創造神としてのハダウ       
     2.太陽の射手としてのハダウ       
     3.ハダウの子供の死=死の起源      
     4.最初のシャマンとしてのハダウ       
     5.トゥングース・満州語系諸族の葬制について       
     6.ハダウの謎

第二部 虎、熊、シャチ
      ――「主」の観念と世界観をめぐって  
  序 章  
  第一章 虎、熊、天神、狩猟神    
   1 虎をめぐる伝承       
     1.テキストの概要       
     2.テキスト         
       1)「獣の主」として虎 2)虎の報恩譚 3)異形の子一虎の子譚          
       4)虎と人間の婚姻譚 5)虎と英雄の決闘    
   2 熊をめぐる伝承       
     1.テキストの槻要       
     2.テキスト         
       1)慈悲深い熊 2)山のヒト 3)熊と人間の婚姻一熊の「主」          
       4)旅と人間の婚姻一姉弟と熊 5)熊と人間の婚姻一敵対者としての熊    
   3 天神、狩猟神、守護神についての伝承       
     1.テキストの概要       
     2.テキスト         
       1)天神 2)狩猟神=「獣の主」・「山、森の主」・「土地の主」の伝承         
       3)守護神  
  第二章 シャチと水界の「主」    
   1 シャチと水界の「主」の観念および儀礼       
       ウデゲ ネギダル ウリチ ナーナイ    
   2 シャチをめぐる伝承        
     1.テキストの槻要       
     2.テキスト         
       1)海の「主」としてのシャチ 2)狩人としてシャチ          
       3)シャチと人間の婚姻 4)水界の息子と熊の決闘    
   3 水界の「主」をめぐる伝承       
     1.テキストの概要       
     2.テキスト         
  第三章 双子崇拝と狩耕民の世界観    
   1 双子崇拝     
      1)双子の伝承 2)双子崇拝と熊 3)双子、「主」、他界観    
   2 アントロモルフィズムと変身    
   3 「主」の観念

第三部 アイヌの口承文 ――神謡kamui−yukarの考察  
  序 章  
  第一章 巫謡とシャマンの歌     
   1 アイヌの「巫謡」について     
   2 近隣諸族における巫歌        
    a.ニヴフの巫歌        
    b.韓国、済州島の巫歌        
    c.エヴェンキの巫歌        
    d.満州族の巫歌     
   3 アイヌの「巫謡」と巫歌、そして、神謡の起源について     
   4 結論  
  第二章 仮面仮装と狩猟儀礼をめぐって     
   はじめに     
   1 仮面と仮装     
   2 シベリアにおける仮面の分布     
   3 仮装と狩猟儀礼      
     (a)狩猟での獣皮仮装 (b)エヴェンキの呪術的狩猟儀礼      
     (c)パレオアジア諸族の狩猟儀礼     
   4 動物の像を所持して行なう儀礼     
   5 問題の所在一結論に代えて    
   付.エヴェンキの狩猟儀礼における巫歌       
     a.「シンケラヴン」儀礼 b.「イケニプケ」儀礼  
  第三章 アイヌの神謡(1)動物説話の類型     
   はじめに      
   1 動物を叙述主体とする神謡の類型     
   2 動物世界と人間世界との関係をテーマとする神謡       
      1)a型の神謡 2)b型の神謡 3)c型の神話 4)d型の神話     
   3 動物説話の機能     
   4 結論  
  第四章 アイヌの神謡(2)神謡成立の可能性     
   はじめに     
   1 恋愛、求婚、婚姻をテーマとする神謡       
      1)e型の神謡 2)f型の神謡 3)g型の神謡        
      4)恋愛・婚姻をテーマとする神謡の特質     
   2 人と動物の婚姻譚       
      1)伝承例 2)神謡における「人と動物の婚姻譚」     
   3 神謡の類型についてのまとめ

結 論   

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