■アイヌ民族の伝承文学の貴重なモニュメント■
定価本体4800円/A5判/上製/488頁 ISBN4-88323-138-0 C3039
かつて刊行された『アイヌ叙事詩 神謡・聖伝の研究』(1977年・岩波書店刊)に収載されたアイヌの故老・老媼から採録した神謡(Kamui-yukar)106編と聖伝(Oina)18編は、対訳・注解編であり、その刊行時に、現代訳をした「説話編」は割愛された。本書は、岩波版では原文のニュアンスを味読するには容易でなかった、これらの伝承文学を神話・説話として理解しやすく把握できるように編者が現代訳にした124編すべてを収録した。
【アイヌの神謡について】神謡は神々が人間の口を借りて、その身の上を自叙して歌う神話を内容とする叙事詩である。神謡の主体たる神も、汎神的な神々で、鳥獣・草木・日月・星辰あらゆるものがそれである。熊・梟・兎・狐・鯨・鯱等々も神であり、時に妖魔や化物さえも神と考えるので、およそ我々の神の観念とはかけ離れものである。神謡の言語は、日常の口語とかなり違った古風な雅語で、一編毎に違った節調をもって歌われるが、それは「歌う」と「語る」との中をいくような、あまり抑揚変化のない単純なものである。神謡は、短い言葉は声を伸ばして長めに歌い、長い言葉は早めに歌って、ほぼ四拍子に合う程度にそろえて歌うのである。
「北海道の本」北海道新聞 04年4月4日付
▽久保寺逸彦編訳「アイヌの神謡」=編訳者は元東京学芸大学教授。アイヌ口承文芸や宗教儀礼の研究で知られるが、生前には一冊の著作もないまま1971年に亡くなった。そのため代表的業績である「アイヌ叙事詩 神謡・聖伝の研究」(岩波書店)も没後の出版。しかも、同書では現代語訳にあたる説話編がページ数の関係で割愛された。本書はそれをあらためて収録したもので、神謡(カムイ・ユカラ)106編、聖伝(オイナ)18編の現代語訳を掲載する。
関連図書/久保寺逸彦著作集1『アイヌ民族の宗教と儀礼』 久保寺逸彦著作集2『『アイヌ民族の文学と生活』(近刊)
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