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 『アイヌ語が国会に響く』萱野茂アイヌ文化講座

■あいぬの今を照射する。「北海道旧土人保護法」に代わって 100年目に制定される「アイヌ新法」とは■
ISBN4-88323-097-X  A5判  1997年刊 本体2,500円

◆本書の内容◆ 萱野 茂 アイヌの国会議員として(参議院議員) 佐々木高明 アイヌ文化を考える視点―歴史的展望にたって(前・国立民族学博物館館長) 野村義一 「アイヌ新法」―北海道ウタリ協会が求めてきたもの(北海道ウタリ協会前理事長) 榎森 進 近世・近代におけるアイヌ民族と日本社会(東北学院大学教授) 加藤一夫 「北海道旧土人保護法」―戦後五十年の視座から(静岡精華短期大学教授) 常本照樹 アイヌ新法制定への法的課題(北海道大学教授) 大塚和義 「民族」をどう考えるのか(国立民族学博物館教授) 尾本惠市 日本人の起源とアイヌ民族(国際日本文化研究センター教授) シンポジウム アイヌ新法制定への課題 吉崎昌一 文化講座を終えて(静修女子大学教授)
●萱野茂・アイヌ民族に関する国会発言集
● 《資料》 北海道旧土人保護法・変遷図 アイヌ民族に関する法律案 先住民族の権利に関する国連宣言案  ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会報告書 アイヌ関係主要年表 ほか 緊急収録「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律案」「二風谷ダム訴訟・札幌地裁一九九七(平成九年)年三月二七日判決骨子」

アイヌ民族の尊厳を回復するために!     作家  倉本 聰    
近世以降、日本という国が先住民であるアイヌ民族に対して行ってきた様々な行為は、それ自体国家の“民族”に対する重大な犯罪行為であったと思う。本来自然人であるアイヌ民族の萱野茂先生が、慣れない国政という場に自らを投入せざるを得なくなったのも、そうした不当への止むに止まれぬ意志の表明であったことと思う。 先住民の生き方、思想こそ今たとえば地球環境の問題解決に唯一残された道であると僕はかねがね信じているのだが、その意味でも本書が、アイヌ民族の依って立つ尊厳の回復に大きな意味を持つことを期待する。

日本が国際社会へ仲間入りできる出発点!   フォト・ジャーナリスト 吉田ルイ子
   
日本は経済大国かもしれないが、人権小国だとつくづく思う。NY(ニューヨーク)に住んでいた六〇年代、私が北海道生まれだというと、Are you Ainu ?(あなたはアイヌか?)と聞かれたことがよくあった。 一方92年、萱野茂さんが参議院議員候補者として全国遊説されたとき、「ヘェー、日本にまだアイヌがいたのか…」という反応が各地で聞かれたことを、選挙スタッフが憤慨していた。 旧土人保護法の廃止、アイヌ新法の法制化は、先住民アイヌの誇りの回復、市民の人権感覚の高揚、そして日本が国際社会へ仲間入りできる出発点だと信じる。萱野茂さんの国会でのアイヌ語スピーチに拍手、応援します。

■週刊読売 1997.6.29号
BOOK REVIEW  
94年、参議院比例区に繰り上げ当選してアイヌ民族初の国会議員になった萱野茂が主宰したアイヌ文化講座の収録。アイヌ民族の形成、アイヌ文化、近世・近代における日本社会の収奪と支配、北海道旧土人保護法から最近のアイヌ新法まで、アイヌ問題を手際よくまとめてある。わかりやすいアイヌ入門書といってもよい。  
 アイヌ民族が北海道の先住民であり、したがって北海道の地名のほとんどがアイヌ語に由来することは、無論、承知していたが、本書を読んで、いかにアイヌについて知らないことが多かったかを痛感した。私の罪であるが、より多くはアイヌについて教えてこなかった日本社会の罪と責任であろう。  
  専門家9人による各編は、それぞれ示唆に富むものだが、何といっても体験に裏打ちされているだけに、冒頭の萱野茂議員の話が一番迫力がある。わずか10ページのイントロに終わっているのは惜しい。別の機会に本格的な半生記をぜひ期待したい。  
  それにもまして、私には本書の6分の1強を占める国会発言集が面白かった。この3年間の参議院における萱野議員の質問と政府側答弁を収録したものだが、これを読むと萱野議員の質問によって当局側も次第に目覚めていく様子が見て取れる。アイヌ民族の代表を国会に送り込んだことの意味は十分あった。国会の機能はまだ失われていないとも言える。  
 もう一つの本書の特徴は70ページに及ぶ資料編である。旧土人保護法、先住民の権利擁護に関する国連宣言草案など、普段目にすることのない法律、アイヌ関係の年表、文献など、関心をもつ者にとっては必携であろう。  
 アイヌ問題の現状は、一歩前進したに過ぎない。日本は単一民族と信じ込む人がいまだに多い現状では、先住民の権利擁護にまで踏み込むのは並大抵のことではない。そうした現状を打開するために本書は一石を投じたと評価したい。


■北海道新聞 1997.5.13
新法」に続き出版を祝う  
アイヌ民族の参院議員、萱野茂さんらが著した「アイヌ語が国会に響く」の出版記念パーティが12日夜、東京都内のホテルで開かれ、村山富市前首相、稲垣実男開発庁長官ら約300人が出版を祝った。 萱野さんは、先日アイヌ新法が成立したことを受けてあいさつし「多くの皆さんのおかげ。こんなにうれしいことはない。今度はぜひ、アイヌに自由にアキアジを取らせてください」と笑顔で語った。同著書は、萱野さんほか、野村義一前道ウタリ協会理事長ら9人の共著。アイヌ民族の和人同化の歴史、アイヌ側が願う民族法などについて書かれている。

■中日新聞 1997.7.6
新刊抄  
アイヌ民族出身の国会議員・萱野茂らによる〈アイヌ文化講座・東京フォーラム〉を収録。アイヌ民族・アイヌ文化とは何であるか、その歴史と現在置かれている状況と、アイヌを考える歴史的・社会的視点を各分野から提示し、「民族」とは何かを問い直す。「旧土人保護法」からアイヌ新法に至る法的・政策的な問題点を中心に、法規・報告類や国会での審議経過などの資料も収められている。

参考/草風館刊「アイヌ文化を伝承する」(萱野茂アイヌ文化講座◆

 

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