書籍のご案内(040520現在)
 『アイヌ民族の文学と生活』
久保寺逸彦著作集第2巻

佐々木利和編

■アイヌ民族が育んだ伝統文化の貴重な実証研究■全2巻完結

ISBN4-88323-139-9 C3339 Y6800E 
体裁:A5判 320ページ 上製 定価:本体6,800円+税

■本書の目次■                     
アイヌの音楽と歌謡 アイヌ文学序説 アイヌの一生 
★掌文集★虎杖の道を辿る(沙流の初踏査紀行) アイヌ民族の正月の今昔 イムーの話 アイヌの民謡詩人ー鹿田シムカニのことどもー 原住民としてのアイヌ(1949)アイヌの川漁 一昔前のアイヌの子ども 沙流川のアイヌ アイヌの遊戯とスポーツに就いて アイヌ民族の植物の利用 エテノア婆さんの想い出 アイヌの子守唄」 
特別資料「アイヌ文学の伝承」◎座談会◎金田一京助・久保寺逸彦・益田勝実(司会)

本書をすいせんします―――――――――――――――
貴重な記録、穏当な解釈  大林 太良 (東京大学名誉教授)
アイヌ民族の文化が見直され、正当な評価を受ける気運が高まっている。このようなときに久保寺逸彦先生の残した貴重な記録と穏当な解釈がひろく利用できるようになることは、アイヌ文化に関心をもつものにとって大きな喜びである。
アイヌが推薦するアイヌの本  萱野 茂 (二風谷アイヌ文化資料館長)
昭和四六年、久保寺逸彦先生の葬儀に列席、その時に金田一春彦先生の弔辞のなかで「貴男には京助という重石があって、アイヌ関係の豊富な研究資料の出版に恵まれなかった。遺された私たちの手で云々……」というくだりがあった。それが現実のものになり、二風谷を舞台に繰り広げられる数々の物語りを同好の方々に一読をお薦めする。

■本書の詳しい内容■                         ( )内論文発表年
◎かつてアイヌの人々がその伝統文化をいきいきと生活している時代に、久保寺逸彦氏がアイヌの人々と親しくして培われたアイヌ文化の諸相。いまは取り返しのできない、失われたアイヌ文化調査・研究論集である。
「アイヌの音楽と歌謡」(1938)
序言 
第一章 アイヌ民族の楽器
第二章 アイヌの叙事歌謡=(一)巫女の神語歌 Tusu shinotcha(二)頌歌 Upopo(三)子守歌 Ihumke, Iyonnotka, Iyonruika.(四)酒謡 Sake-hau(五)神謡 Kamui yukar(六)聖伝 Oina(七)英雄詞曲 Yukar
第三章 アイヌの抒情歌謡(八)シノッチャ Shinotcha(九)イヨハイオチシ Iyohaiochish(哭歌・哀慕歌)(10)欠(一一)ヤイカテカラ Yaikate-kar「哭歌」(一二)ヤイシマネナ Yaishamanena(一三)船歌 Chip-ta hayashi(一四)アイヌ神楽その他
◎アイヌの楽器には、トンコリ(五絃琴)ムックリ(口琴)のほか、かつてはイパプケニ(鹿笛)カチョー(巫女の用いる太鼓)蝦夷琵琶、蝦夷胡弓などがあった。アイヌの歌謡にはほとんど楽器の伴奏がない。ユーカラの拍子は木の棒で炉端を叩いたり、またウポポの演奏にはシントコ(行 器)の蓋を叩いて拍子をとるくらいで、古朴な演奏法であった。
「アイヌ文学序説」(1956.)
序 
第一章 アイヌ語における雅語と口語
第二章 アイヌの歌謡
第三章 アイヌの歌謡の種々相 (1)「祭りの歌」Upopo (2)子守歌Ihumke, Iyonnotka, Iyonruika (3)Rimse-shinotcha踊り歌 (4)Sake-hau酒謡 (5)Shinotcha抒情曲調 (6)Iyohaiochish, Iyohaichish, Ohaichish哀傷歌 (7)Yaikatekar,Yaiekatekar恋慕歌 (8)Yaishamane, Yaishamanena, Yaishama抒情歌 (9)木遺り歌 (10)Chip-o-hau, Chip-o-hayashi舟歌
(四章)欠
第五章 神謡
第六章 聖伝
第七章 英雄詞曲と婦女詞曲 一 英雄詞曲Yukar 二 婦女詞曲Mat-yukar, Menoko-yukar
第八章 散文の物語 (1)Uwepeker(昔話) (2)Tu-itak(北海道中・北・東部の散文物語) (3)Pon upashkuma(なぜなぜ話) (4)Aemina pon-itak(笑い小話) (5)Uchashkoma(樺太の本格的な散文物語) (6)Tu-itax(樺太の三人称叙述の昔話) (7)Charahau(Bばなし)
第九章 アイヌ文学の発生的考察
◎代表的論考の一つ。
アイヌ文学は大別して、歌謡文学と散文文学がある。文学という語を言語と文字とを表現の媒材とする芸術をのみ意味するものと考えるならば、「アイヌ文学」などという呼称そのものは存在し得ないことになるが、文学の領域をさらに広義に解して、文字を媒体とせずとも、言語のまま伝承され来たったもの、あるいは口頭によって、即興的に創作しつつ歌い出る歌謡のごときものをも包 括しうるものとすれば、当然、「アイヌ文学」なるものの存在も許されることになる。アイヌ文学は「書かれざる文学」である。
「アイヌの一生」(1969)
◎結婚
一 結婚の形式の種々 二 結婚の饗宴(サケ・プニ) 三 通婚圏、結婚に関する規制 四 結婚後の新夫婦の住居と財産相続 五 離婚(ウヲスラ、ウホッパ) 六 蓄妾のこと 
◎妊娠と出産
一 妊娠 二 出産 三 産婦の床上げ
◎育児・命名・教育
一 産湯 二 産衣とおむつ 三 赤児と小児の呼称 四 哺乳 五 小児の衣服 六 子守板と子負具 七 子守歌 八 赤児に関する俗信 九 命名 十 教育 
◎成年・成女
◎挨拶・礼儀・作法
一 訪問の挨拶 二 久し振りで会った時行なう挨拶 三 他家を辞去する時の挨拶 四 路傍や戸外での挨拶 五 凶事の際、弔問の挨拶 六 祭りの饗宴における挨拶と作法 七 喫煙に見られる儀礼 八 アイヌの人々が非礼と考えていること 
★掌文集(年代順)
1「虎杖の道を辿る」(沙流の初踏査紀行)(1933)
◎1923(大正12)年沙流川紀行文。沙流路の発旅/紫雲古津/平取瞥見/二風谷/荷負の宿/貫気別へ/帰らぬ詩人/荊棘の道
2「アイヌ民族の正月の今昔」(1937)
◎アイヌの正月の行事には暦もなく、旧年新年の区別がなく生活環境上その必要もなかったが、冬のあいだ、話好きで、赤々と燃える囲炉裏をめぐってユーカラやウェペケレに興じたむしろ明るいものだった。(1936年当時)
3「イムーの話」(1938)
◎アイヌの古老は、今でもなお古いプリミティブな素朴な信仰を持ち続けている場合がある。このアイヌ婦人に見るイムーといふ精神的発作は何故起るのか、ある精神的衝撃を与えられるとほとんど模倣的に習慣的に、しかも半ばは意識して行う精神的発作ではないかと思う。(1938年当時)
4「アイヌの民謡詩人ー鹿田シムカニのことどもー」(1944)
◎民族の故事や神話に深い知識をもち、天性の美声に恵まれた、すぐれたアイヌ詩人の横顔(1934年当時)
5「原住民としてのアイヌ」(1949)
◎アイヌ学界の先達の研究の跡をたどり、「原住民としてのアイヌ」問題を種々の観点から概観、とくにアイヌ語地名の問題点を列挙。
6「アイヌの川漁」(1953)
◎アイヌ研究者の手になる従来の調査記録と現存アイヌ故老の幼時の記憶により、昭和28年当時よりほぼ6,70年前のアイヌ漁撈の姿を映画に再現したときの苦労話。
7「一昔前のアイヌの子ども」(1955)
◎初生児、命名、赤児のアイヌ語呼称、育児、教育、遊戯
8「沙流川のアイヌ」(1955)
◎1955年当時の沙流川流域の報告。
9「アイヌの遊戯とスポーツに就いて」(1956)
一昔前のアイヌの幼少期に行われた遊戯やスポーツの種々。実地に役立つ生活技術への修練だった。
10「アイヌ民族の植物の利用」(1961)
◎明治以前のアイヌは本格的な農業を知らず、植物性食料資源の大部分を野菜や木の実などに依存し、また薬用としても、これを利用することが永く続いた。それ故、彼等の野菜や樹木の採取、利用に関する知識と技術とは、実に驚嘆すべきものがあった。今二つの植物(イケマとキトビル)を例に、その利用法について述べる。
11「エテノア婆さんの想い出」(1964)
◎著者のアイヌ研究の母であり、アイヌ口承文芸の恩人であるエテノアフチ(婆さん)が昭和7年上京したときの思い出。
12「アイヌの子守唄」(1965)
◎アイヌの子守唄――それは詩形は小さないながら、一昔前の「アイヌの人々」の生活の中から生まれ出た歌。

久保寺逸彦著作集 第1巻「アイヌ民族の宗教と儀礼」
久保寺逸彦編著「アイヌの神謡」

   

                       ホームに戻る                     
                           

MAIL to WebMaster